プラスチックで構造体を設計するときのワンポイント(その2)
プラスチックで構造体を設計するときに注意しなければならないのが、温度変化による材質の伸び縮みや変形です。
特に熱可塑性樹脂においてはその変化が大きいですから注意が必要です。
下記に線膨張、線膨張係数を記載しておきますので、参考にしてみてください。
線膨張
線膨張とは、温度の上昇により物体の長さが伸びる現象のことです。
線膨張係数
線膨張係数とは、温度変化1℃あたりの物質の変形量と元の長さの比率のことです。
線膨張係数の単位は、毎ケルビン(/K)または毎℃(/℃)です。
線膨張係数による寸法変化値の求め方
寸法の変化値Δlは
Δl=α×l×Δt
(線膨張係数)×(もとの長さ)×(温度の変化量:変化後の温度-もとの温度)
で求めることができます。
例)塩ビ(PVC) 1000mmの材料が15℃から25℃まで温度変化したときの寸法は、PVCの線膨張係数:5~10(10-5/℃)なので10で計算すると、
(10×10-5)×(1000)×(25-15)=1mm変化します。
実際、弊社加工場は空調環境下ですから22℃として、御社様の保存環境を仮に40℃と仮定すると、40-22=18℃で計算すると1.8mmの伸びが予測できます。
10-5 →10マイナス5乗(0.00001)
実際には更に吸水率なども考慮する事や、材質によっては製造時に起こる材料の縦、横による違いもありますので、材料メーカーや加工メーカーとご相談ください。
下記に参考数値を載せますが保証値ではありません。
各材料メーカーより情報を入手してください。
注:PTFE(フッ素系)に関しては注意が必要です。
株式会社バルカー社様のPTFE線膨張係数解説を参考にしてみてください。
【→株式会社バルカー社様のPTFE線膨張係数解説はこちら】
注:上記の内容は保証するものではありません。各材料メーカーより情報を入手してください。
冒頭で述べさせて頂きましたがプラスチックで何らかの構造体タンクやカバー、治具に至るまで線膨張係数は特に考慮しなければいけない数字です。
特に半導体業界で使用されるウエハ、マスク等の製造工程や、洗浄周りでの治具やケーシング類、同じようにガラス基板、液晶基板、太陽電池の製造工程なども同じように設計、製造には注意が必要です。